2025年12月18日から、まさに氷上の格闘技「第93回全日本アイスホッケー選手権大会(Aグループ)」が熱戦を繰り広げられるでしょう。アジアリーグに所属するプロチームと、予選を勝ち抜いた大学・クラブチームが「日本一」の称号をかけて戦うトーナメント方式の大会です。そして、唯一のテレビ中継がある大会です。
今大会もシード制が採用されており、アジアリーグの4チームは2日目の準々決勝から登場します。
1回戦(12/18): 明治大学vs苫小牧市役所、DYNAXvs東洋大学、釧路厚生社IHCvs中央大学、日本製鉄室蘭アイスホッケー部vs関西学院大学と学生と社会人の意地がぶつかる4試合になります。前回は関東大学リーグの3チームが勝利しています。大会方式が変わっている2023年の大会も関東大学リーグの2チームが社会人チームから勝利を挙げています。そんな社会人チームがベストなメンバーで出場できるのか、大学チームもU20の選手が万全な状態で出場できるのか?お互いにベストを尽くして欲しいものです。
明治大学は、大学ホッケー界の「3強のチーム」です。彼らのホッケーは非常に洗練されており、学生離れした「大人のホッケー」を展開します。無理にパックを捨てず、自分たちでキープしながら攻める時間が長いです。個々のハンドリング技術が高く、パスワークで崩すスタイルはレッドイーグルスに近いものがあります。 苫小牧市役所アイスホッケー部も「公務員が日本一を目指す」という、ホッケーの街・苫小牧を象徴するチーム。J-Ice Northでは常に上位で伝統的にフィジカルが強く、最後まで走りきるスタミナがあり、泥臭く守って数少ないチャンスをモノにする戦い方でくるでしょう。
序盤から明治大学が主導権を握る展開が予想されますが苫小牧市役所: 徹底したゾーンディフェンスで耐え、GKがファインセーブを連発する時間が続き、明治が追加点を奪い、2〜3点差をつけられるかが勝負の分かれ目。もし市役所が1点差以内で踏みとどまっていれば、試合は面白くなります。非常にタフな試合になることが予想されますが、若さ溢れる明治大学が、社会人チームの壁を打ち破るか、市役所が意地を見せるか、熱い展開に期待しましょう。
前大会で旋風を起こし関東大学リーグで優勝した東洋大学のFW高田 麟選手に森田 琉稀亜選手、GKの田村 壱桜選手は3年生で健在です。対するDANAXも最強の「プロ経験者集団」と評され元レッドイーグルスのトップ選手が数多く在籍しており、「技術と経験」では大学生を圧倒します。パワープレーの熟練度やプロで培ったパス回しと判断の速さは、今大会でも台風の目となるでしょう。
「社会人トップの安定した戦力」と「大学トップの勢いと高い技術」が激突する第1回戦で最もスリリングで、予測が難しいカードの一つと言えるでしょう。
釧路厚生社IHCは、釧路の伝統ある強豪クラブチームで地元釧路の強豪高校・大学出身の若手から、ベテランまでバランス良く構成され、ひたむきにパックを追い、体を張るスタイルが持ち味です。特に守備意識が高く、強豪相手でも怯まずにボディチェックに行く姿勢は、相手の選手にとっても非常に戦いづらい相手になるでしょう。 中央大学は、派手さは少ないかもしれませんが、「負けないホッケー」を知っている伝統校です。
「地域を背負う粘りのホッケー」と「創造的な頭脳派ホッケー」という、異なる魅力を持ったチームのぶつかり合いとなり、釧路厚生社が格上の中央大を倒すには守り勝つことでしょう。GKが中央大の攻撃をシャットアウトし、相手に焦りを与えることが最大のカギとなります。中央大学は釧路厚生社のタイトな守備を崩すため、DFゾーンから正確でクリエイティブなパックフィードで攻撃の起点をつくり、早い時間に打ち破れるかという我慢比べの展開になれば面白い試合になるでしょう。ロースコアになればなるほど、釧路厚生社に勝機が生まれ、若きタレント集団の中央大がその壁をどう乗り越えるか注目の一戦です。
日本製鉄室蘭アイスホッケー部は、伝統的に「強いフィジカル」と「重いシュート」が特徴です。ベテランの勝負強さが健在で接戦になった時の集中力も高く、経験豊富な選手が試合の流れを読む力に長けています。関西学院大学は、『関西の絶対王者』の関西大学を破っての出場になりますが総勢34人のチーム内での争いも強さの要因の一つでしょう。
日本製鉄室蘭アイスホッケー部の絶対的な守護神 (GK) 山口連選手ロースコアゲーム(1~2失点)が絶対条件。彼のビッグセーブがチームの士気を維持し、攻撃陣に活力を与えます。このカードの勝敗は、関西学院大学の「粘り強い攻撃」が室蘭の「鉄壁の守り」を打ち破る時間帯にかかっています。非常に堅いゲームが予想されますが、関学大の勢いが室蘭の壁を崩す瞬間が見られるか注目の一戦です。
